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これは珍しい!撮影した被写体が立体視できる、旧ソ連製フィルムカメラのスプートニク
Спутник...皆さんこれが読めますか?
この文字列はロシア語で英語読みはSputnik、日本語読みは「スプートニク」です。
スプートニクと聞いて「人工衛星?」って思った方大当たり!
でも名前は同じでもこちらは何と旧ソ連製のカメラなのです。
今回は僕がロシアから手に入れた何と3眼のフィルムステレオカメラ、GOMZ Sputnikを紹介します。
古いカメラと侮ってはいけません...写りはキレキレなのですよ!
目次
旧ソ連製のカメラやレンズたち
旧ソ連製のカメラやレンズと聞いて皆さんはどの様に思われますか?
「所詮はソ連製でしょ?」と思われるかも知れません。
しかし使ってビックリ、当たりを引くと素晴らしい体験ができるのです。
実は旧ソ連製の光学機器はコスパがとても高いのです!
例えばライカはドイツ製の高級カメラですね。
古いレンズ ...例えば一般的なスクリューマウントの「Leitz Elmar F/3.5 50mm 沈胴式」は程度が良ければ10万円近くします。
- しかし旧ソ連製の「INDUSTAR22 F/3.5 50mm 沈胴式」は程度が良くても何と7千円前後で入手できます!
「写りが違うから仕方ないよね...」と考えたそこのお客さん、旧ソ連製レンズは当たりを引くとかなり凄い写りを体験することになるのですよ。
しかしハズレも多いのも事実...僕が入手したあるレンズ、何とグリースが入っていませんでした!
でもハズレを引いてもそれなりに楽しめてしまう...それが旧ソ連製レンズ漁りの醍醐味なのです。
そしてその流れでついつい入手してしまったのがGOMZ Sputnikでした。
GOMZ Sputnikってどんなカメラ?
GOMZ Sputnik...殆どの人は聞いたことがないカメラだと思います。
実はSputnik、ステレオカメラなのです。
僕は一時期ステレオカメラが欲しくて欲しくて...色々と物色していました。
例えば二束三文のステレオカメラアダプターをリコーGR Digital(最初期バージョン)に自作のアダプターで無理やり装着してステレオ写真を撮影していた事もありました。
(因みにこのステレオレンズもロシアのインダスター社製です。)
しかし当時のデジカメの解像度はそれほど高くなく、僕が入手したステレオカメラアダプターも出来が悪くてガッカリな画像ばかりが溜まっていったのです。
そこで僕は古いフィルムカメラに注目しました。
・ステレオカメラブーム到来
アメリカでは1950年代にステレオカメラのブームが起きました。
Realist、Kodak、 Wollensak、Revereなどのメーカーは挙ってステレオカメラを製造していたのです。
中にはかなり完成度が高い筐体も作られていた様ですが、フィルムが35mmだったので解像度という点で今ひとつだった様です。
それに中々高額で球数も少なく、入手出来なかったのです。
ところが旧ソ連のGOMZというメーカーは自社製の2眼レフカメラ「ルビテル(Lubitel)」の部品を使って何と中判ブローニーフィルム「6cm × 6cm」を使用するステレオカメラ「スプートニク(Sputnik)」を開発してしまったのです。
2台を並べてみました、よく似ていますね。
(因みにGOMZは現在のLOMOの前身です)
GOMZ Sputnikの仕様表
以下にGOMZ Sputnikの使用表を貼付します。
カメラタイプ |
中判、反射式ステレオカメラ |
製造会社 |
Leningradskoje Optiko-Mechanitschskoje Objedinjenije (LOMO), ロシア |
製造販売期間 |
1955〜1973年 |
使用フィルム |
120のブローニーフィルム |
筐体サイズ |
154.1 mm x 101.2 mm x 93.4 mm (W x H x D) |
重量 |
809 g(ケース込み1,128g) |
左右のレンズ間距離 |
63.58 mm |
画像フォーマット |
55.3 x 55.4 mm (W x H) |
レンズ |
Lomo T-22 matched anastigmats 75mm(3群3枚)、フィルターネジ無し(レンズ外径26.9 mm) |
絞り |
左右レンズ連動式、連続調節式 f/4.5 〜 f/22 |
焦点距離 |
左右レンズ連動式、マニュアルフォーカス 1.3m〜無限遠 |
シャッター |
メカニカルレンズシャッター 3枚羽 |
シャッター速度 |
1/125, 1/60, 1/30, 1/15 sec. and "B" (New Model) 1/100, 1/50, 1/25, 1/10 sec. and "B" (Old Model) |
ファインダー |
フードと拡大レンズ付きレフレックス式ファインダー f2.8 アクションファインダー付き |
距離計 |
無し |
フィルム挿入 |
マニュアル |
フィルム巻き上げ |
手動、ノブ式 |
フィルム巻き戻し |
不可 |
フィルムカウンター |
ブローニーフィルムの台紙の番号でカウント |
ストロボ接点 |
有り(PC-Contact) |
三脚ソケット |
3/8“ / 16 TPI または ¼“ / 20 TPI、モデルによって異なる |
セルフタイマー |
approx. 7秒から12秒(モデルによる) |
その他 |
多重露光可能、左のレンズだけでの撮影で2D写真撮影可能 |
付属品 |
取扱説明書、革製ケース、ステレオビューワー(スライド&プリント用)、表示台 |
注記 |
カメラの名前の刻印が何れかである。 (SPUTNIK)又はキリル文字(cпутник) |
スプートニクの英語マニュアル
http://www.rmm3d.com/3d.encyclopedia/manuals/sputnik/sputnik.html
以上です。
写真で見るGOMZ Sputnikの詳細
ここからは写真でGOMZ Sputnikの詳細を見ていきましょう。
・革製ケース
革製のケースです。
蓋を開けました。
革製のケースを外すとこんな感じです。
・GOMZ Sputnik本体
Sputnikの前後左右です。
上下です。
・Sputnik正面の詳細
カメラ名ですが、僕のモデルは古いタイプなので(cпутник)と刻印されています。
正面にはレンズが3枚配置してあります。
レンズは左右の2つが撮影用、真ん中がファインダー用です。
・レンズキャップ
レンズキャップははめ込み式です。
・ピント合わせ
真ん中のレンズがピント合わせ用レンズです。
鏡胴上部に距離が刻印されています。
3つのレンズはギヤで連動していて、回すと3つが同時に回転してピントを合わせます。
・絞り値の変更
絞りは下部の左右レンズと連結されたバーを動かす事で変更出来ます。
絞り値はf4.5〜f22です。
・シャッターのチャージとレリーズ
シャッターチャージレバーは正面から見て1番左、レリーズバーはその下に配置されています。
シャッターも中心レンズ直下の部品で左右連動しています。
・セルフタイマー
このモデルは古いタイプなので、シャッター速度は何と1/100しか無いのです。
セルフタイマーは約7秒です。
・ストロボ接点
左レンズの鏡胴にストロボ接点があります。
・フィルムカウンター確認窓
背面にはブローニーフィルムの台紙に記載されたフィルムカウント番号を読み取る為の小窓が空いています。
小窓の左にあるツマミを反時計回りに回す事で赤い窓が開き、内部のフィルムの台紙に書いてあるフィルムカウンターを確認することが出来るのです。
・裏蓋
カメラ背面には観音開きの裏蓋があります。
この裏蓋は中央部のシルバーの部品だけでロックされています。
このロックを誤って押し下げると裏蓋が開いてしまい中に入っているフィルムを感光させてダメにしてしまうので、絶対に触らない様に注意をしています。
・カメラ内部へのアクセス
ここで裏蓋を開けてカメラ内部にアクセエスしてみましょう。
上でも書いた様に中央部のシルバーの部品を押し下げると観音開きの裏蓋が左右に開くのです。
カメラ本体内部はツルツルのベークライト製なので、光がカメラ内部で豪快に乱反射します。
カメラの内部反射のフレア(乱反射)を軽減する為に、僕は内面に黒いフェルトを貼り付けました。
・フィルムの装填部
ブローニーフィルムを背面左側に装填し、フィルムを右側のスプール(ブローニーフィルムの芯)で巻き取ります。
因みに巻き取りは手動です。
(動画は次項に貼ります)
・三脚ソケット
本体底面の中心部には三脚ソケットがあります。
このソケットはドイツ式の太いタイプ(3/8“ / 16 TPI)です。
(このソケットはかなり浅いので、僕はワッシャーを咬まして三脚に固定しています。)
・ウエストレベルファインダー
本体上面にはウエストレベルファインダーがあり、左右には巻き上げノブが設置されています。
折り畳まれたウエストレベルファインダーです。
フード部後方のノッチを指で押し上げると開きます。
Sputnikのファインダーはレフレックス方式(反射式のファインダー)なので、上部から覗くと中央のレンズからの画像が確認できます。(被写体は左右逆に見えます)
ピントグラスに映る画像は暗く、中央にあるピント合わせ部分はもっと暗いです。
ファインダー蓋部分に内蔵されている虫眼鏡を使用してピントを合わせるのですが、この作業にはちょっと苦労します。
蓋の中央部分を内側に倒して後面の四角穴から覗けばスポーツファインダーになります。
GOMZ Sputnikで撮影してみよう!
いよいよGOMZ Sputnikで撮影してみましょう。
・フィルム装填
先ずはブローニーフィルムの装填です。
以下の動画を見てください。
・フィルムの巻き上げ
次は撮影出来る部分までフィルムを巻き上げなければなりません。
フルマニュアルカメラですので、フィルムは手動で巻き取ります。
巻き上げカウンター窓を確認していると「Kodak」の文字が表れるので、数字の「1」が見えるまで巻き上げます。
以下に動画を貼ります。(動画では1を少し過ぎてしまいました)
・実際の撮影手順
以下に撮影の手順を提示します。
・三脚にSPUTNIKを固定し、被写体に向ける。
・単体露出計で被写体の露出を計り、露出とシャッター速度をカメラに設定する。
・ウエストレベルファインダーで構図を決めルーペを取り出し、中央のレンズを回しピントを合わせる。
・シャッターをチャージしてレリーズレバーを押し下げシャッターを切る。
(SPUTNIKはオールドカメラなのでシャッター速度がとても遅いです。僕はレリーズバーを押す時の手ブレ防止の為に出来る限りセルフタイマーを使います。)
・撮影後は手動でフィルムを巻き上げる。
(Sputnikはステレオカメラ ...フィルムを一度に2枚使いますので、カウンターに「3」が表示されるまで巻き上げます。)
以上で撮影完了です。
・安定して撮影する為に
このカメラはシャッター速度が遅い(1/100)ので、手持ちでは手ブレを起こしやすいです。
僕は手ブレ防止用にセルフタイマーを使う事が多いので、出来るだけ三脚を使用します。
これは僕が使っている単体スポット露出計の一つ「VOIGTLANDER VC METER II」です。
Sputnikで撮影した作例
以下にGOMZ Sputnikで撮影したステレオ写真の作例を貼ります。
直近に撮影してその写真を載せたかったのですが、時間が無かったので以前撮影しておいた写真を貼ります。
立体視には平行法と交差法があります。
・平行法:右眼で右の画像を、左眼で左の画像を見る方法
・交差法 左眼で右の画像を、右眼で左の画像を見る、つまり視線が画像の前で交差するように見る方法である。
(2枚の写真を寄り目で見る方法です。)
写真は交差法で貼ったので、2枚の写真を寄り目で見ると立体的に見えます。
立体的に見えましたか?
Sputnikに搭載されているLomo T-22 matched anastigmats 75mmは3群3枚のレンズで、キレがありコントラストもハッキリした画像を排出してくれます。
付属のステレオビューワー
このスプートニクにはステレオビューワが付属していました。
このビューワーは3つの部品に分解出来ます。
トレーの高さを変える事で、ピントを合わせる仕様です。
トレーは丁度縦と横が6cmの写真を2枚載せられる大きさです。
トレーにスプートニクで撮影した2枚の写真を載せて、上からレンズで覗くと写真から被写体が浮き上がった様に見えるのです。
写真が楽しく美しく撮れる中判ステレオカメラGOMZ Sputnik
皆さんGOMZ Sputnik如何でしたか?
見た目も独特なステレオカメラ、こんなカメラはこれからも絶対に作られないと思います。
製造より少なくとも50年以上経っているGOMZ Sputnik、しかし撮影した写真は美しくキレがあります。
一時期富士フィルムなどでデジカメのステレオカメラが発売されていた時期がありました。
https://store.shopping.yahoo.co.jp/premierecamera/PRE705885.html?sc_e=slga_fpla
しかし立体的に見るには専用の表示装置が必要だったと記憶しています。
撮影した物を裸眼で立体的に見る事が出来る完全な立体写真機は未だに現れて来ません。
僕はもう少し、この変わった形のカメラSputnikでステレオ写真を楽しんでみようと思います。
☆ねわげ
今回紹介した製品と関連ある商品へのリンク
今回紹介したGOMZ Sputnikは中古でしか手に入りません。
しかしHOLGAと言うトイカメラのメーカーから中判のステレオカメラが発売されています!
このカメラはピンホールカメラと言い、レンズは無く針穴(ピンホール)からの光を観光する方式で撮影します。
実はパナソニックなどからステレオ写真用の交換レンズも発売されています!
ペンタックスのデジタル一眼レフ*istDシリース専用ですが、ステレオ写真アダプターが存在します。
こちらは何とスマホでステレオ写真が撮影出来るレンズクリップです。